アンテナ登録サイトより

http://d.hatena.ne.jp/hitomisiriing/20040324#p3

私のコメントを書く前に、私の基本的なスタンスを書いておく。

  • 私は、何もせずにぐうたら過ごすのが最上だと思っているし、そうなりたいと願っている。
  • 私は、各種経済誌自己啓発関係の書籍にあるような「ビジネスパーソンとしての自己実現」「サクセス!」「勝ち組」とかそういう物言いに対して懐疑的だし大いに偏見を持っている。

さて、


宮台さん的「タフになれ」発言は「勝ち組になりたいけどなれない夢見る負け組」を再生産し、それがシステムにとって都合がいいことなのだ、というのは僕の実感としてはちょっとそぐわない。
私は、それはシステム(というか企業だな)にとって都合のいいことだと思う。バイトやパートタイマーという安価に使い捨てができる人員が増えてくれれば都合がいいだろう。正社員とパートタイマーを同じ土俵にあげて同じように評価する企業なんて殆ど無い。

自己実現と仕事を結び付けるようなかたちでエントリーシートを書かせられたり面接で聞かれたりする(生=労働にさせられる??)から、学生たちはそう振るまっているのであって、そうした態度を求められていないのであれば、誰もそんなことは考えない。
まさにその通り。「勝ち組」とか「自己実現」とか「サクセス」ってのはホント企業や自己啓発セミナー屋や研修屋にとって都合のいいスローガンだ。
だいたい、日経なんたらとか東洋経済とかプレジデントとかビッグトゥモローとか、所謂ビジネス雑誌ってやつ?あんなの企業経営層(資産年収ピラミッドの頂点にいるような、会社員なんてものとは根本的に身分が違うような富裕層)に都合のいいことを書く雑誌なんだから。読む側はその程度のことはわかってなきゃいけない。それがわからないならあんな雑誌読まないほうがいいよ。害悪にしかならないから。

多くの人はめんどくさいと思いながらも、入社の志望動機を自己実現などと結び付けて答えねばならなくさせられているだけだ。自己実現=仕事での成功だなんて、そもそもは信じていない。けれども、就活を乗り切るためには、その嘘を信じ込んで外に対して振る舞うしかないのだ。
ま、そういうファンタジーを信じているふりをしないと企業に採用してもらえないからね。ただ、企業や研修屋ってのはそこにつけこんできて「君たちは会社員にならないという選択肢もある中、敢えて会社員になったのだから企業の利益最大化をまず第一に考えるべし」なんて巧妙な言い草を準備していやがる。
会社員orフリーター(そしてフリーターを選択するとその先は地獄絵図)というストーリーを用意しておいて学生連中に有形無形の圧力をかけて、無言の強制システムで会社員という方向に恣意的に誘導しておいてこの言い草だ。もっと他のことに頭使えよハゲ、って感じだが。

そうやっているうちに、本気で信じてしまう人もいるだろうし、嘘くさいと感じながらも、それに沿わないやり方ではどうにもならないので思考停止したりするだけだ。
だいたいあんなの、うえのはるきのほめぱげ用語で言うところの「レッツビギンや!ポジティブやで!」とどこが違うんだよ。怪しげなセミナーや宗教をゲラゲラ笑っているヤツが企業向けのファンタジーをそのまま信じているのを見たりすると心底寒気がする。

「間違った企業に入る」とは、単に「間違った」とか「相性が悪かった」、あるいは「選べなかった」だけであって、本当は生きること自体とは関係ない。ただ、関係あるように振る舞わないとバカみたいだからそう思うだけだ。不況で職を選べないという端的な事実を忘却し、自分のした仕事の選択が人生の中で重大な「意味」を持っていると信じなければならないこと、それが「信仰」なのだと思う。
意味なんて見出したければそいつ自身で見出せばいいだけの話なんでね。ただ、ビジネス誌の受け売りしかできないようなヤツは意味なんて見出さなくていいよ。そういうの、往々にして迷惑だから。
なんつうか、ビジネス誌のファンタジーに乗っかるならそれもいいけど、ちゃんとわかったうえで乗っかろうね。君らが乗っかっているファンタジーは怪しげな宗教やセミナーが掲げているファンタジーと同じものだからね。傍から見ればどっちもゲラゲラ笑われる対象だからね。